業務自動化 — 2026.09.09
釧路の宿泊・観光事業者のDX|人を増やさずに客室を開ける
「部屋はあるのに、開けられません」
宿泊業の方から、この言葉を聞くようになりました。
清掃とフロントの人手が足りず、あえて売る客室数を絞っている施設が出ています。
釧路市の2025年度の観光入り込み客数は約445万人で前年度を下回りましたが、訪日客の宿泊は増える傾向にあります。
この記事では人を増やす前に削れる手数を4つに分け、どこから手をつけると効くのかを整理します。
要点:手をつける順番は①予約の集約 → ②問い合わせの定型化 → ③チェックインの前倒し → ④清掃指示の自動化です。最初に集約を済ませないと、その後のすべてを予約経路の数だけ繰り返すことになります。削るのは宿泊客の満足に直結しない工程だけで、接客と清掃は削りません。人の時間をそこへ回すほうが、採用より早く効きます。
人手不足は「稼働を絞る」形で現れる
宿泊業の人手不足は、求人票の枚数では見えません。
現れ方は静かです。
- 売る客室数を減らす
- 清掃の時間を詰める
- 時給を上げて募集する
いずれも収益を削るか、口コミの評価を下げる方向に働きます。
つまり人が採れないことの代償を、売上と評判で払っている状態です。
ここを抜けるには、人を増やす以外の手を先に打つ必要があります。
フロント業務は4つに分けられる
① 予約の取り込み
複数の予約サイト、電話、メール、直予約。
それぞれの管理画面を開いて、1つの台帳に書き写す作業です。
② 問い合わせ対応
到着方法、チェックイン時刻、食事の内容、入浴の作法。
聞かれる内容はほぼ決まっています。
③ チェックイン
宿泊者名簿の記入、本人確認、支払い、部屋の案内。
到着が重なる時間帯に、列ができます。
④ 清掃と点検の指示
翌日の連泊と退室を見て、どの部屋をどう入れるかを紙に書き出す作業です。
この4つのうち、宿泊客の満足に直結するのは③の一部と接客だけです。
残りは削れます。
最初に手をつけるのは「予約の集約」
理由は単純です。
集約されていない限り、②③④のすべてが予約経路の数だけ繰り返されます。
逆に1つの台帳に集まってさえいれば、その先はまとめて減らせます。
集約するときに決めることは3つです。
- どの項目を持つか(氏名・人数・部屋・食事・到着予定・要望)
- サイトごとに違う呼び方を、どの言い方に揃えるか
- 取り込むのは随時か、1日1回か
2つ目を飛ばすと、後の作業が結局手作業に戻ります。
予約と問い合わせの取りこぼしを場面ごとに分ける考え方は札幌のサロン・整体|予約と問い合わせの取りこぼしをなくすにまとめました。
問い合わせは、同じ質問の8割を先に答えておく
問い合わせの大半は、毎回ほぼ同じ内容です。
やることは、聞かれた質問を集めて型にすることです。
- 過去の返信を集め、質問を20個ほど書き出す
- 定型で答えられるものと、判断が必要なものに分ける
- 定型の分を、サイトと自動応答の両方に置く
ここで重要なのは、判断が必要な問い合わせを自動化しないことです。
料金の相談や特別な要望に機械が答えると、後で取り消す手間が生まれます。
問い合わせ対応を仕組みで受ける方法は問い合わせ・予約対応を自動化するで解説しています。
過去の資料から答えを引く仕組みの作り方は社内の質問対応をAIに任せるもご覧ください。
チェックインは「その場でしかできないこと」だけ残す
チェックインの作業を分けると、前倒しできるものが見えてきます。
- 前倒しできる=名簿の記入、支払い方法の登録、到着時刻の確認
- その場でしかできない=本人確認、鍵の受け渡し、館内の案内
前倒しできる分を到着前に済ませておけば、帳場での時間は数分に縮みます。
混雑する時間帯に列ができなくなるだけで、フロントの負荷は目に見えて変わります。
なお全部を機械に置き換える必要はありません。
初めて訪れた土地で人に迎えられることは、それ自体が価値です。
清掃の指示は、前夜のうちに自動で出す
清掃指示は、予約台帳から機械的に作れます。
必要な情報は次の4つだけです。
- 退室か連泊か
- 次の客がいつ入るか
- 人数と寝具の構成
- 特別な要望があるか
これを前夜のうちに部屋ごとの一覧として出しておけば、朝の申し送りが短くなります。
紙で配るか画面で見せるかは、現場の慣れに合わせて選べばよい話です。
入れた仕組みが使われなくなる原因はせっかく入れたツールが使われないで整理しました。
連絡を受けてから業者の手配までを1枚の票で追う例は札幌の賃貸管理会社のDXで扱っています。
訪日客が増えると、案内の言語が2つになる
釧路は湿原と阿寒という強い目的地を持ち、訪日客の宿泊が伸びています。
ここで増える手間は、通訳ではありません。
同じ案内を2言語以上で作り直す作業です。
だから定型文を作るときは、最初から言語を切り替えられる形にしておきます。
後から多言語にすると、日本語版と内容がずれていきます。
そして到着の案内は、季節で書き分ける必要があります。
冬は道路状況で到着が遅れるため、到着予定を早めに把握できる形にしておくと当日の段取りが崩れません。
どこまで既製品を使い、どこから作るか
宿泊業には、よくできた既製品があります。
- 既製品を使う=予約サイトとの接続、宿泊管理、決済
- 自社の形で作る=清掃と点検の指示、館内の案内文、独自の料金や特典の計算
- まず既製品を試す=自動応答、多言語の案内
既製品でつながらないところを人が埋めている場合、その隙間だけを作るのが安く済みます。
人手を補う設備やソフトには、省力化を目的とした国の補助制度もあります。
制度の名称と枠はIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に変わったで整理しました。
ここまでのまとめ
釧路の宿泊・観光のDXで押さえるべき点は4つです。
- 順番は予約の集約 → 問い合わせの定型化 → チェックインの前倒し → 清掃指示の自動化
- 集約しないまま進めると、すべてが予約経路の数だけ繰り返される
- 削るのは満足に直結しない工程だけ。接客と清掃は削らない
- 案内文は最初から多言語を前提に作る
よくある質問
宿泊業のデジタル化はどこから始めるべきですか?
予約の集約からです。複数の予約サイトと電話とメールが別々に入ってくる状態では、その後の清掃指示もチェックインの準備も予約経路の数だけ繰り返すことになります。1つの台帳に集まってさえいれば、以降の手数はまとめて減らせます。
人を増やさずに客室稼働を戻せますか?
削れる手数から先に削れば可能性はあります。同じ質問への回答、予約内容の転記、清掃指示の作成といった作業は、宿泊客の満足に直結しない工程です。ここを減らして人の時間を接客と清掃に回すほうが、採用より早く効きます。
外国語の問い合わせ対応はどうすればいいですか?
よく来る質問を先に多言語で用意しておくのが基本です。到着方法・チェックイン時刻・食事の内容・入浴の作法など、聞かれる内容はほぼ決まっています。定型で答えられる部分を先に置き、判断が必要な問い合わせだけ人が受ける形にします。
釧路の観光事業者ならではの注意点はありますか?
季節と天候で予約の動き方が変わることです。冬の道路状況や交通の遅れによる到着時刻の変更が起きやすく、到着予定を早めに把握できる形にしておくと当日の段取りが崩れません。また訪日客の宿泊が増える一方で全体の入り込みは減っており、客層ごとに案内を分ける必要が出てきています。
「部屋はあるのに開けられない」から、ご相談を
Ridge Forge は札幌を拠点に、社内にIT担当がいない北海道の中小企業の業務改善に伴走しています。
人を増やす前に、削れる手数がどこにあるかを一緒に探す進め方を得意としています。
まずは予約の入り方と朝の申し送りを見せていただき、どこから減らせるかを整理します。
業務自動化の考え方は業務自動化のページにまとめています。
初回のご相談は無料です。