業務自動化 — 2026.10.13

札幌の賃貸管理会社のDX|「水道が凍った」の受付から手配・報告までを1本にする

暗い壁から突き出た真鍮の蛇口に小さなつららが下がり一筋の光が差しているイメージ
寒波は止められない。止められるのは、誰が受けたか分からないまま夜を越す連絡のほう。

「寒波の朝は、水が出ないという電話で一日が始まる」

札幌の賃貸管理会社の冬は、こうした連絡の対応から始まります。

札幌市水道局によると、水道の凍結事故は12月から2月にかけて多発し、修繕は年間7千件近くにのぼります。

そして札幌の住宅のうち、借家は47.2%を占めています。

この記事では冬に集中する入居者からの連絡を、受付から業者の手配・オーナーへの報告まで1本につなぐ進め方を整理します。

要点:冬の賃貸管理は、連絡の「量」と「急ぎ」が同時に来るのが特徴です。電話とメモで回すと、誰が受けてどの業者に頼み、入居者に何を伝えたかが追えなくなります。最初に作るのは受付票1枚です。物件・部屋・内容・写真・緊急度を受けた時点で残し、業者の手配から完了の報告まで同じ票で追います。あわせて空室の水抜きを一覧で管理すると、凍結による階下への漏水という一番高くつく事故を先回りして防げます。

冬の連絡は「量」と「急ぎ」が同時に来る

札幌市水道局は、凍結に注意が必要な時期として3つを挙げています。

  • 外気温がマイナス4℃以下になるとき
  • 長い時間、水道を使わないとき
  • 1日中氷点下の真冬日が続いたとき

札幌の真冬日は平年で年43.6日あり、1月だけで16.7日です。

寒波が来ると、同じ朝に多くの部屋で同じことが起きます。

しかも水や暖房が止まるのは生活に直結するため、入居者は待てません。

ふだんの問い合わせとは、量も急ぎの度合いも違う連絡が一度に来るのが冬です。

冬に集中する4つの連絡

① 水道の凍結

水抜きの手順を案内すれば済むものから、業者が出向く必要があるものまで幅があります。

札幌市水道局は凍結の修繕を行わないため、修理は指定給水装置工事事業者への依頼になります。

つまり手配の窓口は管理会社です。

② 暖房と給湯の不調

FF式ストーブや給湯器が動かないという連絡です。

排気口や給気口が雪でふさがると、不完全燃焼を起こし一酸化炭素が充満するおそれがあると消防が注意を呼びかけています。

修理の手配より先に雪をどけてもらう案内が要る場面があります。

③ 屋根の雪とつらら

屋根からの落雪や落氷では、毎年死傷事故が起きています。

入居者からの「つららが大きくなっている」という連絡は、後回しにできません。

④ 共用部の雪

玄関前・通路・駐車場の除雪が追いつかないという連絡です。

除雪業者への依頼と入居者への案内が同時に必要になります。

最初に作るのは「受付票」1枚

電話とメモで回すと、受けた人しか状況を知らない状態になります。

業者に頼んだのか、入居者に折り返したのか、オーナーに伝えたのか。

夜の当番から朝の担当へ引き継ぐときに、ここが抜けます。

そこで連絡は、1件ごとに受付票として残します。

  • 物件と部屋(一覧から選ぶ)
  • 内容(凍結・暖房・雪・その他から選ぶ)
  • 写真
  • 緊急度

物件と部屋を選べば、入居者の連絡先・オーナー・設置されている暖房機の種類が自動で出るようにします。

入居者がフォームやLINEから送った連絡は、そのまま票になります。

電話で受けた場合も、受けた人が同じ票に入れます。

窓口がいくつあっても、行き着く先を1つにしておくのが要点です。

緊急度は受けた人が迷わない選択肢にする

冬の連絡でいちばん難しいのは、どれから手を付けるかの判断です。

判断を受けた人の経験に任せず、選択肢の側に基準を持たせます。

  • 今夜中=水が漏れている、暖房が完全に止まって高齢の方や乳幼児がいる
  • 明日中=水は出ないが漏れはない、暖房は一部動いている
  • 次の平日=生活に支障がない不具合

水抜きや雪の除去で戻る可能性があるものは、業者を呼ぶ前に手順を案内します。

夜間や休日によく来る質問は、自動で先に答える形にもできます。

問い合わせの受け方を整える考え方は問い合わせ・予約対応を自動化するで整理しています。

営業時間外の問い合わせをAIチャットで受け止めたサロンの事例も、受付の作りとしては同じ形です。

業者への手配と進み具合を同じ票で追う

受付票ができたら、手配もその票から行います。

水道・設備・除雪の協力業者には、票の画面をURLで送ります。

業者は「向かう」「完了」を押し、作業後の写真を1枚付けるだけです。

管理会社の側では、未手配・手配済み・作業中・完了が一覧で見えます。

入居者から「いつ来るのか」と聞かれても、票を開けばその場で答えられます。

別々の窓口から届く反響を一画面にまとめた不動産会社の事例は、この一覧の考え方に近いものです。

除雪を受ける側の記録の作り方は札幌の除雪業者のDXで扱いました。

空室の水抜きは一覧で先回りする

冬の事故でいちばん高くつくのは、空室の凍結です。

札幌市水道局の注意喚起でも、空室は水道管が凍結するおそれがあり、階下に被害が及んで賠償問題に発展するケースもあると書かれています。

人が住んでいないため、凍っても破裂しても気づくのが遅れます。

札幌には賃貸用の空き家が111,600戸あります。

そこで空室を一覧にし、水抜きを済ませた日・担当・写真を残します。

寒波の予報が出たら、まだ水抜きをしていない空室を赤く表示します。

退去の立ち会いのチェック項目にも水抜きを入れておきます。

事故の後に対応するより、事故の前に一覧で潰すほうが安く済みます。

オーナーへの報告は票からまとめる

賃貸住宅管理業法では、管理業者は1年を超えない期間ごとに管理業務報告書をオーナーに渡して説明することになっています。

書く事項には管理業務の実施状況と、入居者からの苦情の発生状況と対応状況が含まれます。

受付票に日時・内容・対応が残っていれば、報告書の材料はすでにそろっています。

冬は対応の件数が多いため、月ごとの一覧を先に共有しておくと修繕費の相談もしやすくなります。

報告のために記録を作り直す必要はありません。

どこまで既製品を使い、どこから作るか

契約や家賃、入出金の管理は既製の賃貸管理システムで足ります。

手が届きにくいのは、冬の連絡を受けてから直すまでの流れです。

  • 既製品を使う=契約・家賃・入出金の管理、会計
  • 自社の形で作る=受付票から手配・報告までの流れ、空室の水抜きの一覧
  • まず既製品を試す=LINE公式アカウントでの受付と一斉案内

判断軸は「自社の協力業者と物件の持ち方で中身が変わるかどうか」です。

書類やデータの置き場所をそろえる考え方は情報を一元管理するはじめ方にまとめました。

ここまでのまとめ

札幌の賃貸管理会社の冬のDXで押さえるべき点は4つです。

  • 冬の連絡は量と急ぎが同時に来ると考えて組み立てる
  • 窓口がいくつあっても、受付票1枚に集める
  • 緊急度は受けた人が迷わない選択肢にする
  • 空室の水抜きは一覧で先回りする

よくある質問

冬の入居者対応は何から整えればいいですか?

連絡を1件ごとに受付票として残すところからです。物件・部屋・内容・写真・緊急度を受けた時点で入れ、業者の手配から完了まで同じ票で追います。電話・フォーム・LINEと窓口がいくつあっても、行き着く先を1つにしておくと引き継ぎで抜けなくなります。

夜間や休日の連絡はどうすればいいですか?

よく来る質問は自動で先に答え、判断が必要な連絡だけを当番に回す形にします。水抜きの手順や排気口の雪の確認のように、案内すれば入居者が自分で対処できるものも多いからです。緊急度の選択肢に基準を持たせておけば、当番が1人でも迷わずに順番を決められます。

空室の凍結はどう防げばいいですか?

空室を一覧にし、水抜きを済ませた日・担当・写真を残します。寒波の予報が出たら未実施の空室が目立つようにしておき、退去の立ち会いのチェック項目にも水抜きを入れます。札幌市水道局は、空室の凍結が階下への被害と賠償問題に発展するケースもあると注意を呼びかけています。

オーナーへの報告にも使えますか?

使えます。賃貸住宅管理業法では、管理業者が1年を超えない期間ごとに管理業務報告書をオーナーに渡して説明することになっており、入居者からの苦情の発生状況と対応状況も記載事項です。受付票に日時・内容・対応が残っていれば、その一覧が報告の材料になります。

「寒波の朝に電話が鳴りやまない」から、ご相談を

Ridge Forge は札幌を拠点に、社内にIT担当がいない北海道の中小企業の業務改善に伴走しています。

大きな管理システムを入れ替えるのではなく、いまの協力業者と物件の持ち方のまま冬の連絡を1本にする進め方を得意としています。

まずは去年の冬にどんな連絡がどの窓口から来たかを見せていただき、受付票の形を一緒に決めます。

業務自動化の考え方は業務自動化のページにまとめています。

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