DX — 2026.09.15
IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に変わった|2026年に押さえる3点
「IT導入補助金で調べても、去年と様子が違います」
こんな声を聞くようになりました。
理由は単純です。
2026年度から、制度の名称がデジタル化・AI導入補助金に変わりました。
この記事では何が変わったのか、どの枠に当たるのか、そして申請の前に決めておくことを整理します。
要点:押さえる点は3つです。①名称が変わった(IT導入補助金 → デジタル化・AI導入補助金/正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)。②AIを搭載したツールも対象になった。③賃上げの要件が厳しくなった(過去に受給した事業者の再申請時)。そして順番を間違えないこと。先に困りごとを決め、それを解くものが対象なら申請する。逆にすると使われないツールが残ります。
制度はなくなっていない。名前が変わった
まず安心していただきたいのは、制度自体は続いているということです。
中小企業・小規模事業者がITツールを導入するとき、費用の一部が補助される。
この枠組みは変わっていません。
変わったのは名前と、対象の範囲です。
名称に「AI」が入ったことが、そのまま中身の変化を表しています。
窓口は中小企業基盤整備機構で、公式の案内は同機構のサイトに置かれています。
変わった3点
① 名称
「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へ。
正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金です。
検索するときは新しい名前で調べないと、古い年度の情報にたどり着きます。
② AI搭載ツールが対象に入った
これまで補助の対象は、いわゆる業務ソフトが中心でした。
そこにAIを使ったツールが加わりました。
ただし対象として登録されたツールに限られる点は従来と同じです。
どんなAIでも通るわけではありません。
③ 賃上げの要件が厳しくなった
過去にこの補助金を受けた事業者が再び申請する場合、賃上げの目標がより厳しく設定されます。
常連の申請を抑え、初めての事業者に配分する方向です。
枠は用途で分かれている
申請する枠は、導入するものの性質で決まります。
- 通常枠=業務のデジタル化そのものが目的の場合
- インボイス枠=請求や受発注の電子化(対応類型と電子取引類型に分かれる)
- セキュリティ対策推進枠=情報を守るための対策
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠=複数の事業者が連携して導入する場合
補助率と上限額の目安は、2026年度の案内では次のように示されています。
- 通常枠(低額)=5万円から150万円未満・補助率1/2以内
- 通常枠(高額)=150万円から450万円以下・補助率1/2以内
- インボイス対応類型=50万円以下は3/4から4/5以内、50万円超から350万円以下は2/3以内
- セキュリティ対策推進枠=5万円から150万円・補助率1/2から2/3以内
なお枠の構成・補助率・締切は公募回ごとに見直されます。
申請を検討する段階では、必ず公式サイトの最新の公募要領で確かめてください。
「補助金があるうちに」で選ぶと失敗する
相談でいちばん多いのがこの順番の入れ替わりです。
補助金が出るから何か入れておこう、という発想で始まると、たいてい使われないツールが残ります。
理由は2つあります。
- 対象に登録されているツールの中から選ぶため、自社の困りごとに合うものがあるとは限らない
- 補助されるのは導入費の一部で、運用の手間と月額は自社が持つ
正しい順番はこうです。
先に困りごとを決める。それを解くものが対象に含まれていれば申請する。
含まれていなければ、補助金を使わずに解く。
この考え方はIT導入補助金でシステムを導入する前に知っておきたいことで詳しく書きました。
申請の前に決めておく3つのこと
申請書を書き始める前に、社内で決めておくと迷わなくなります。
- 何を減らしたいのか(時間か、ミスか、人の待ち時間か)
- 誰が使うのか(事務所か現場か。現場なら入力の形が変わる)
- 誰が旗を振るのか(導入後に使い方を決める人)
3つ目を決めずに進めた案件は、入れたあとで止まります。
旗振り役の決め方はIT担当がいない会社のDX、何から始める?にまとめました。
投資が元を取れるかの見方はAI・DX投資は「元が取れる」のかをご覧ください。
人手不足なら、別の制度のほうが合うこともある
解きたい課題が「人が足りない」であれば、別の制度が向いている場合があります。
中小企業省力化投資補助金です。
デジタル化・AI導入補助金がソフトウェア中心なのに対し、こちらは機械やロボットを含む設備の導入を想定しています。
分かれ目は単純です。
- ソフトで解ける=転記、集計、書類づくり、問い合わせ対応
- 設備が必要=運ぶ、詰める、洗う、測る
宿泊業のように両方が混ざる業種では、どちらに寄せるかの見極めが先になります。
現場の手数を分ける考え方は釧路の宿泊・観光事業者のDXで具体的に扱っています。
北海道なら、まず見に行ける場がある
制度を調べる前に、実物を見てしまうのも早い方法です。
2026年は北海道が主催するHOKKAIDO DX EXPO 2026が、道内3か所で開かれます。
- 札幌=2026年10月1日(木)/TKPガーデンシティPREMIUM札幌大通
- 釧路=2026年10月22日(木)/釧路市生涯学習センターまなぼっと幣舞
- 函館=2026年11月17日(火)/協同組合函館総合卸センター流通ホール
いずれも10時から17時で、参加費は無料の事前申込制です。
展示や体験のほか、個別のDX相談の場も設けられています。
カタログで比べるより、触って人に聞いたほうが判断は速くなります。
補助金が出ない部分こそ、効き目の中心にある
最後に、いちばん誤解されやすいところを書いておきます。
補助の対象になるのは、登録されたツールの導入費用です。
つまり次のような部分は、多くの場合対象になりません。
- いまの業務を棚卸しして、何を仕組みにするか決める作業
- 自社の契約や作り方に合わせて作り込む部分
- 入れたあとに現場へ定着させる伴走
ところが実務では、この3つが成否を決めます。
だから制度は使えるなら使う道具と考えるのが健全です。
制度に合わせて自社の課題を選び直すと、順番がまた入れ替わります。
既製品で足りない部分を小さく作る考え方は苫小牧の物流・倉庫業のDXでも具体的に扱いました。
ここまでのまとめ
2026年に押さえるべき点は4つです。
- IT導入補助金は名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変わった
- AI搭載ツールが対象に入り、賃上げ要件は厳しくなった
- 枠・補助率・締切は公募回ごとに変わるため、公式サイトで確認する
- 先に困りごとを決める。補助金ありきで選ばない
よくある質問
IT導入補助金はなくなったのですか?
制度がなくなったのではなく、2026年度から名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変わりました。正式には中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金という名称です。中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に費用の一部が補助される仕組みという点は同じで、新たにAIを搭載したツールも支援の対象に含まれます。
どの枠に申請すればいいですか?
導入するものの性質で決まります。業務のデジタル化が目的なら通常枠、請求や受発注の電子化ならインボイス枠、情報を守る対策ならセキュリティ対策推進枠、複数の事業者が連携して導入する場合は複数者連携の枠が用意されています。枠の構成と要件は公募回ごとに見直されるため、必ず公式サイトの最新の公募要領で確認してください。
補助金があるうちに何か入れておくべきですか?
順番が逆になっています。補助金は対象として登録されたツールの購入費用を軽くする仕組みで、自社の困りごとに合うかどうかは別の話です。先に困りごとを決め、それを解くものが対象に含まれていれば申請する。この順番でないと、使われないツールが残ります。
人手不足の対策には別の補助金もありますか?
省力化を目的とした中小企業省力化投資補助金があります。デジタル化・AI導入補助金がソフトウェア中心なのに対し、こちらは機械やロボットを含む設備の導入を想定した制度です。どちらに当たるかは、解きたい課題がソフトで解けるか設備が必要かで分かれます。
「うちはどの枠に当たるのか」から、ご相談を
Ridge Forge は札幌を拠点に、社内にIT担当がいない北海道の中小企業のAI活用・業務改善に伴走しています。
制度を使うかどうかの前に、何を解くのかを一緒に決めるところから始めます。
補助の対象にならない棚卸しと定着の部分こそ、いちばん手が要るところです。
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